日本のライトノベル作家、桜坂洋が書いた「オール・ユー・ニード・イズ・キル」が映画化しました。
世界中に翻訳され、映画も大人気の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」。ネタバレと感想です。
繰り返す生と死
この「オール・ユー・ニード・イズ・キル」では、主人公のケイジが戦っては死に、を繰り返してだんだん強くなっていく、といういわゆる「ループもの」と呼ばれるストーリーです。
日本のライトノベル的ではありますが、ケイジが死ぬたびに左手の甲に印をつけ、そして強くなっていき、戦友であるリタと同じ現象を共有します。
何回繰り返しても現実は違うものになります。戦いは毎回違い、そしてそのたびに死んでいく主人公。
一見すると「ご都合主義」になりがちなループものですが、今回は人類の存亡をかけた戦い、そしてループの数も半端ありません。
リタに至っては250回以上ループしています。
そのたびに戦友を失わないない未来のために戦うケイジ。ですが、助けられない命があってもケイジはまた目を覚まします。
それを疑似体験していると、まるで自分自身の現在にも真実がないように感じてしまいます。
生き返るからいいや、ではなく、主人公ケイジは生き返るからこそ、失わないために戦っているのです。
それが人間の人生の不可逆性をより際立たせているように感じます。
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最愛の戦友を失った贖罪
ループから抜け出すため、リタと戦い殺すケイジ。
そんなケイジに、ケイジが命を助けたたくさんの戦友たちがケイジを非難します。
皮肉なあだ名をつけられ、それでもケイジは亡くなったリタのために戦う決意をします。
まるで周囲の人間の視線が、リタを殺したケイジへの断罪のように感じました。
たとえループから抜け出せなくても、リタと生きる道もあったかもしれません。それでも、無力な人間は戦いの中で殺しあうことを選びました。
その断罪です。
やっとループを抜けたケイジは、今度こそたったひとつの自分の命のために戦います。
とてもライトノベルとは思えないクオリティの高い作品だと思います。
シンプルな舞台の中で命とはなにか、生きるとはなにかを考えさせられる作品です。
日本のライトノベルのレベルの高さを感じる作品でした。
まとめ
自分もライトノベルを書いている人間ですので、この作品は大変気になっていましたが、まだノーチェックでした。
改めて、ライトノベルはすごい、ここまでできるんだ、という思いにうれしくも感じますが、高い壁も感じました。
このような作品が増えてくれることを願ってやみません。
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